塾のテストと入試の算数の関連性について

query_builder 2015/03/29
算数全般
模擬試験

山下国語教室のブログで「塾と入試の国語のテストについて」という記事があり、頷くことが多かったので、それと同じような視点で、算数の塾と入試のテストについてのブログを書くことにしました。


6年生になると範囲の決まっていないテストを受ける機会が増えますが、それまでは範囲の決まっているテストを受けることが多いと思います。

範囲の決まっているテストと範囲の決まっていないテストではとらえ方が大きく異なるので、まず、範囲の決まっているテストから書いていきます。


これは入試とは180度ちがう異質なものということが分かることでしょう。

入試では、算数の学力が問われているのに対し、範囲の決まっているテストは、最近の学習が身についているかどうかを確認するテストになります。

このテストに向けてがんばって、良い成績を取れれば、長い目で見れば、入試につながるはずですが、その1回のテストで「これなら○○中合格!」とはならないことでしょう。


もちろん、だからと言って、がんばる必要がないかというと、そんなことはありません。

1ヶ月間の学習内容から出題であれば、それをがんばることによって、ちょうど良い具合に復習になります。


やや話がずれますが、私は間違い直しが嫌いです。

正確に言うと、間違え直しを信用していません。

生徒が「いまできなくても間違え直しをしてできるようになれば良いんですよね?」と言ってきた場合には、「でも、テストは終わったんだからできるようになったかの確認はできないよね」と返したものです。

力のつかない間違え直しの仕方というものがありますので、悪い場合を想定してしまいます。


範囲のあるテストは入試問題に似ている、似ていないとかはまったく関係なく大切なものなので、それに向けて最大の準備をするべきだと思います。

特に、入試の頻出の「速さ」「立体図形」の単元が出題のときは、いつも以上に燃えるべきだと思います。


では、範囲の決まっていないテストです。

塾によっていろいろな呼び方があると思いますが、実力テストと呼んでいるところが多いと思います(以下、実力テストとします)。


実力テストは、50分25問、150点満点であることが多いと思います。

クラス替えにも影響があるので、国語より配点を高くするために200点満点にしている場合もあると思います(四谷大塚の組分など)。


計算問題から始まって、前半の一行問題はかなり簡単です。

これは様々なレベルの生徒に対応するためという理由ですが、やさしい問題を入れてある程度の下駄を履かせないとテストを受けてくれない、退塾をしてしまうという大人の事情もあります。


高い月謝を払って塾に通っているのに、実力テストで10点だったら、まったく実力つけてくれないんだ…と思われ退塾されてしまうということです。

個人的にはスッキリしない理由ですが、事実としてこういう事情もあります。


そして、そろそろ本格的な問題が登場するのが3分の2くらいからあとです。

つまり150点の配点のうち、100点はかなりやさしめにつくっていて、それがすべてできると偏差値60になるという計算です。


サピックスのように母集団レベルが高いと、その100点分の中で捻りを入れているので、基本が分かっていてミスがなければ100点というわけにはいかないと思います。


そして、後半3分の1は随所に難しい問題を入れ、相当な力量がないと140点以上は取れないテストになります。

1年間に実力テストが複数回あれば、出題単元は、バランス良くなるように配置されます。

前回、流水算だったから、今回は時計算とか。


それに対して、入試問題は、男子難関中、女子難関中の一部・共学難関中の一部は、一行問題はなく、大問5問くらいで、総問題数10~15題で、塾の実力テストとは全く異なる構成となります(以下:大問型入試と呼びます)。


それ以外の学校の入試問題は、塾の実力テストと似ていて、計算、一行問題から始まり、徐々に難しくなっていくタイプが多いです(以下:実力テスト型入試と呼びます)。

恐らくですが、入試問題をつくる先生が、塾の実力テストの構成を参考にしているからだと思います。


合格者を選ぶテストで、正答率90%の問題が存在する必要性はありません。

正答率が低い問題は、出題する先生の意地か、さじ加減が上手くないかのどちらかです。

よく入試問題は、その学校からのメッセージと言われることが多いですが、私はそれに疑問があります。


男子中、女子中、共学問わず、入試問題なら、「速さ」「平面図形」「立体図形」は頻出で、「数の性質・規則性・場合の数」から数問、「特殊算」から数問というように、だいたい出題単元が決まっています。

その中にあっても学校によって特徴があります。

万遍なくいろいろな単元を出題したい塾の実力テストとは異なります。



実力テスト型入試なら、塾の実力テストと問題数は似ていますので、時間配分は参考になりますが、難易度、出題単元には共通点がない場合があります。


大問型入試なら、塾の実力テストとはなにもかも別物なので、実力テストの結果をどうとらえれば良いか迷います。


塾の実力テストは弱いけど、大問型入試には強いというお子様もいれば、逆もいます。

こう書いてしまうと、「重要なのは受ける学校の過去問!」という意見に見えますが、私は模試派(塾の実力テスト重視派)です。

実力テストと大問型入試で得点力が大きく変わってしまうお子様もいますが、そういう子は少数だからです。


難関中の大問型入試に対応できる子は、大抵、塾の実力テストでも偏差値65以上は取れますし、中堅校の実力型入試にまずまずの子は、塾の実力テストでもまずまずでしょう。

問題数が何問だろうとできる子はできるという論理です。

陸上競技の短距離走と長距離走の話をここで持ち出すのはナンセンスです。


受ける学校が、偏差値70の大問型入試で、自分は塾で偏差値50だけど、大問型入試に強いから行ける!なんてことはあまり想像できません。


しかし、塾の実力テストで偏差値60くらいの成績だと、入試問題の得点力と大きくズレることがあります。

どこができないから偏差値60になっているのかが、お子様によってかなり異なるからです。


偏差値60という数字は、学力を把握しにくいということです。

そこを考慮に入れず、数字だけで判断すると失敗の可能性が高くなります。

偏差値60は最も危険!と言ってもいいかもしれません。


そろそろまとめに入ります。 算数は、入試問題と塾の実力テストは、いろいろと違う部分があるとは言え、だいたい同じ結果になるので、実力テストの成績を上げたいと考えることは正しいと思います。

しかし、だからといって、何か対策をするとか、実力テストの過去問を入手して事前に練習という必要はまったくないと思います。

文字通り、いまの実力をチェックするだけです。

健康診断に向けて、そのときだけがんばっても意味がないのと同じことです。


特に大問型入試の中学を目指すなら、普段の勉強は、それに対応した勉強にするべきです。

実力テストの対策どころか、偏差値○以上取りたいと考える必要もありません。

順調に力がついていれば、自然と偏差値に反映されます。


しかし、言いかえると、実力テストの結果が悪ければ、力がないことの証明なので、実際の入試に向けて黄信号です。

志望校合格に向けて強化するポイントが必ずあります。

実力テストの結果が良くても何かあるかもしれません。



範囲の決まっているテストは、事前の対策が必要で、間違い直しが信用できないと書きましたが、範囲の決まっていない実力テストは、その逆で、事前の準備は必要なく、結果が出たあとにしっかり分析して、補強していく体勢をつくれると良いと思います。