以前習ったことを忘れているのは正常か?

query_builder 2015/04/29
算数全般
らせん階段

お客様から、とても嬉しいメールがきました。

かなり前に書いた記憶がありますが、私は褒められても木には登らないようにしています。

大人にはお世辞という武器がありますので、真に受けていたら勘違いしてしまいそうだからです。

塾講師には、こういうお世辞に弱いタイプが多く、褒められると、自分がカリスマとかエキスパートとか救世主と感じてしまう人も多くいるような気がします。


スカイプ指導などでも、復習テストで点数が取れて嬉しいとか、お子様のがんばっている姿を見られて安心したというメールをいただいておりますが、挨拶だと受け止めております。

しかし、メールの文章の内容によりましては、とても嬉しく感じることがあるのも事実です。


それが今回のメールです。 ほんの少しさわりだけ抜粋いたします。


こちらでしっかり勉強した単元は得意分野になっています。一度勉強した後も、解き方を忘れていないのが素晴らしいです。こちらの教材で勉強した後、塾の宿題に取り組むと、自力で解ける問題が増えて、自信につながるようです。宿題が終わりきらなくても、確認テストで得点がとれるので、塾の先生にも何も言われません。


どこの部分が嬉しく感じるかお分かりでしょうか?


さて、話を大きく変えます。

販売している教材の関係上、サピックスの生徒の保護者様からのご相談がよくあります。


「基礎トレはしっかりやった方がいいか?」


こういうニュアンスのご相談がありますが、基礎トレについて考えてみます。

まず、大きな誤解があると思いますが、基礎トレは「基礎」という文字を使っているから、さぞかし「基礎力がつくんだろうな」という印象を受けるかもしれませんが、基礎力はつきません。


だからと言って応用力がつくわけでもありません。

役に立たないわけでもありません。

ややこしい言いまわしになりますが、「基礎力を確認するため」「身についている基礎力を失いにくくするため」です。


現時点で基礎力が欠けている場合は、基礎トレをやってもそこで基礎力がつきません。

がんばって、基礎力をつけようとすると、かなり大変です。

多くの方は、そこまではやっていないことでしょう。


仮に基礎力をつける問題集をつくるとしたら、10問のうち、計算を3問、角度や面積を2問同一単元の問題をやさしい順から5問という形にします。

同一単元というのがまた難しく、「食塩水」と「損益算」は同一単元ではありませんが、「約数」と「倍数」は同一単元です。


理由は「約数」の反対が「倍数」だからです。

表と裏は同一単元と言って良いです。


それを親切に分けてしまうと、温室育ちというか逆効果です。

まぎらわしいものは同一でいいです。

約数&倍数で5問載せるとしたら、


公約数の書き出し

ベン図などで公倍数の個数を求める

リンゴを分けるような端数を処理して公約数を求める

分数をかけて整数にする

GCMとLCMが分かっている問題


こんな感じで同一単元の問題を続けます。

塾講師の中には、いろいろな問題を幅広くやった方が良いと考えているタイプもいるかもしれません。

本当に確認だけならそれでいいのですが、分からないところを、解き方を確認して身につけ直すのなら、扱う単元が少ない方が一極集中になり効果が出ます。


10問の基礎的な小テストのあとに、いくつもの単元の弱点補強学習などしたら負担増で、学習の質が下がりそうです。

やるならせめて1単元にすべきです。


私の考える理想の基礎トレは、


計算練習ができる

基礎の確認ができる

基礎を忘れにくくする

求積の計算(3.14がらみ)を頻繁にやる

基礎力を身につけ直す


この5つを成し遂げるものです。

このように書くとお分かりだと思いますが、1回身につけたことも時間がたてば忘れます。

そうならないように工夫して反復の機会を設けるのが塾講師の仕事の1つです。


しかし、よくよく考えてみると、もし、私自身なら、1回知った解法は2年でも3年でもというか永久に覚えています。

復習なんてもちろんしません。


今回ご紹介したメールで、そのことについて考えてしまいました。


こちらでしっかり勉強した単元は得意分野になっています。一度勉強した後も、解き方を忘れていないのが素晴らしいです。


この部分です。

1回習ったことを、時間が空くと次々と忘れていくと、保護者としてもしんどいと思います。

この教材で、そのしんどさを軽減できていると思うと、とても嬉しいわけです。


忘れないためには、公式を覚えるだけでは当然ダメです。

私のような(元)塾講師は、何をやれば何が求まるかが分かっているので、○○を使えばいいのか!と1回分かればいつまでも解けるのです。


例えば、かなり前の話ですが、四国の学校の入試問題で、超難問で解けそうもない通過算の問題がありました。

どこかの塾講師が大声で「ダイヤグラムだ!」と叫びました。

その一言で十分です。

ダイヤグラムをかけば、ああいうことが把握できるので上手くいきそう! となるわけです。

何をやれば何が求まるかという理解の仕方がポイントです。


「公式を覚えて反復演習!」「公式の理由など理解しなくても解ければ良い!」「解ければ自信が深まって理解できる」


このように考える塾講師も多く、人は人、自分は自分だと思いますので、それを否定することはありませんが、私のつくる教材はざるで水をすくいたくないのです。


そういう狙いで教材をつくっていますので、このようなメールをいただきますと、とても嬉しいのです。


何をやれば何が求まるかということを強調せずに、解ければ良い!という解説を書くなら、対話式ではない方がいいかもしれません。

スペースを空けて見やすく、実際に解くときの書き方の例として載せておけば十分です。

イラストや文字色を変えてちょっとした注釈は必要ですが、お子様が真似をしてその通りに書けば解けるというものになるでしょう。


理解して忘れないように身につけさせるという狙いではなく、反復しながら定着させようという教材ならその形がベストかもしれません。

反復しなくても済むのなら、その分、応用問題や思考系の問題ができます。


お子様が反復練習をやっているのを見ると、目を細めたくなりますが、実はあまり質の高い勉強ができていないと解釈できるのではないでしょうか。

反復演習が悪いと言っているわけではありません。

反復せずに成績が下がったら、それこそ大問題です。

反復が重要と考えずに、反復せずに身につく勉強を目指すという心構えが大切です。