解くのが遅いお子様へのアドバイスの仕方

query_builder 2015/06/09
算数全般
解くのが遅い

お子様の勉強している姿を見ると、とても胃が痛くなるかもしれません。


  • 雑に書いて間違える
  • ダラダラとした姿勢で考えているか分からない
  • 手の動きが遅い
  • 単純な計算ミスがある
  • すぐに手が止まってしまう


複数回答OKのアンケートなら、どれも得票率が高いかもしれません。

真面目に真剣に接すれば接するほどこういった現象が目につきます。


問題は速く解けるにこしたことはありません。

テストでも制限時間は決まっていますし、家で勉強するときも短時間で終わらせられれば、ゆとりを持てますし(睡眠時間を十分に取れるかも)、他の教科、単元に取り組むことができます。


よくインターエデュなどで、算数に自信のあるお父様が、時間制限がなかったらできるんだけどなどと書きこんでいます。

「時間制限の中で解くから差がつく」と考えると、やはりしっかり鍛えて解くスピードアップを目指すべきなのでしょうか。


少し例えが悪いかもしれませんが、スピードというと元サッカー日本代表の岡野選手を思い出します。

野人岡野と呼ばれ、スーパーサブ的な存在で、みんなが疲れているときに交代でピッチに立ち、野人のように縦横無尽に走り回る選手でした。


岡野選手がワールドカップで惨敗した後に「誰よりも速くボールのところまで走って行ったけど、ボールを取れなかった」とコメントしていました。

サッカーでも足の速さは必要ですが、短距離走の陸上選手ではないので、足が速いだけでもダメです。

ボールを取れるテクニック、そしてゴールを決めるテクニックがないと一流FW選手にはなりません。


そして、名探偵コナンの映画で、これまたサッカー日本代表の遠藤選手が、足は遅くても先読みができれば一流選手になれるというようなことを言っていました。


私は問題を解く速さの必要性は、このサッカーの足の速さと同じような感覚です。

速いだけでは点数にならない。

解くのが遅くとも問題攻略の糸口のつかみ方が長けていれば早く解ける。

まさに遠藤選手の言う通りです。


ところが、塾講師のときは、授業中に問題を解かせると、与える時間は短めになります。

入試演習をするとしても、解かせたい問題だけピックアップして、試験時間は25分などというようにです。


これは短時間で解かせることでスピードをつけることが目的だったわけではありません。

サピックスはその目的で短めの演習時間にする文化があるようですが、私はそうではありません。

試験時間を短くしないと、解説の時間が取れなくなるというところが本音です。

だからこそ、家ではじっくり時間をかけてていねいに取り組んで欲しいのです。


塾では「ある程度焦って解き」、家では焦らずに「じっくり考えて解き」というように、塾では物理的にできないことを家でやって欲しいのです。

そうしないと「あれはダメ?じゃこれは?」といった試行錯誤ができません。


難問は捨て問だからというのはここでは関係がありません。

鍛えるときは少しだけ背伸びをするというのが鉄則です。

背伸びしている状態なのに「時間を気にして焦る」というのがつながりません。


ところが塾講師の中には、家でも時間を計って集中して素早く解きなさいという指導をします。

解き慣れていて確実に満点が取れるという問題ならセンスアップのために素早く解く練習も有効です。

百ます計算を急いで解くのと同じような効果になります。


しかし、その域に達していない問題を時間を計って解いたらどうなるでしょう。

慣れていき、だんだん素早く解けるようになる?

なるわけがありません。

雑に解くだけです。


速さの問題は、頭の中で組み立てられて正解に辿り着くのならば、図をかかなくても良いですが、図がないと解けなかったり、イメージできないなら図をかくのは当然です。

しかし、急いで解くのなら、スピードが気になって、図をかかないか、役に立たない汚い図を素速くかくかのどちらかになりがちです。


立体図形や容積の問題もこのようなことが顕著に現れるでしょう。

子どもは「急がば回れ」という諺を知りません。

諺を知っていても、それの生かし方が分かりません。

アドバイス、指導のミスで、ありえない方向に進んでしまう恐れがあります。


では、どうして塾講師は時間を計って急いで解かせようとするのでしょうか?

理由は2つあります。


1つ目は耳の痛い話ですが、保護者が「どうしたらスピードがつくか」と相談するからです。

私が講師なら「速ければ失うものもありますよ」と返しますが、サービスマンの塾講師は、保護者の要望に応えようとなにかアドバイスをしたくなるのでしょう。


2つ目の理由は、塾講師は、過酷な試練を与え、それに耐え抜いた生徒さんが難関校に合格するという意識を持っています。


昔、サピックスの役員の理科の先生が、入試の試験時間の半分くらいにして入試問題を解かせていました。

そして、「最初はクレームがきたけど、時が立つにつれできるようになりましたよね」と得意げに語っていましたが、そういう短時間でできる子だけが残ったということではないのでしょうか。

上記のサピックスの速く解くという文化は、この役員の考えが起点のような気がします。


最近、入試問題が洗練されてきて、塾のクラスと合格校が以前ほど結びつかなくなってきているようです。

塾側の「耐え抜いた者」のみが難関校合格ということにはなっていないのではないでしょうか。


その場をなんとかしのいで、深い理解、ていねいな学習ができないまま上位クラスをキープし、入試に挑んだら、洗練されている問題に通用しなかった。

逆に、塾の試練には負けたけど、深い理解、ていねいな学習ができ、入試本番では合格点を取れた。

こういう現象が起きやすくなっているような気がします。


問題を解いた後こそ、解法をもう1回吟味して、「検算」「大きさ的に問題がないか」「もっと上手い考え方はないか」といったものを考えることでセンスが上がると思っているのですが、時間を気にして解く子は、そんなことをせずに次の問題に行くのでしょう。

センスが育たずに入試で通用しなかったという見方もできます。


私も立場が変われば、常に正論を言い続けられるかどうかは自信がありません。

夏合宿やYTを自信を持って勧めているかもしれません。


このように塾講師もその立場の中でアドバイスをしているので、必ずしも正しいことを言っているわけではありません。

ちょっと違和感があるな?と思ったらその違和感が正しい可能性が高いです。


いよいよ表題のアドバイスをいたします。


体の姿勢をまっすぐにして解きましょう

分からない問題は、算数が得意な人は5分、あまり得意ではない人は2分で、解説を読むか、家庭教師や保護者様にアドバイスを求めるか、諦めましょう。

ヒントや糸口さえ分かれば、再チャレンジします。

あくまでも上の時間は、手の止まっている時間、もしくは堂々巡りしている時間です。


また、具体的に目についたことを1つずつアドバイスして改善していくことも大切です。


  • 数字は速く書こう
  • 線は速くひこう(速く作図する練習は有効かもしれません)
  • 読むのが遅い場合は音読しなさい


などです。

在り来たりですが、そもそもスピードにこだわっていないので、これで十分です。


だれよりも速く解いたけど「ミスが目立つ」「解説されたら簡単な問題でこれなら解けたと思った」というような岡野選手のような問題が連発し、点数はイマイチだったということがないように取り組みましょう。


長距離走は、普段、体育系の部活で体を鍛えていれば、どんどん持久力がつき速くなります。

普段、しっかり答えを出せるような勉強をしていけば、書き方も上手くなり、糸口を見つけるのも上手くなり速く解けるようになります。

速さを求めずに、結果的に速くなることを目指しましょう。

食事も早食いは意識しなくても、テレビなど見ながらではなく、普通に良く噛んで食べれば、そんなに遅くなることはないと思います。

解く速さの意識の持ち方は、そのようなものかと思います。