過不足算の教え方

query_builder 2021/05/18
算数全般
長椅子

つるかめ算に続いての教え方シリーズです。


まず、過不足算の紹介です。

差集め算と呼ばれることもあり、参考書では過不足算・差集め算と併記されることもあります。


つるかめ算と同じ「和と差に関する問題」のグループに所属していて、そのグループの中では難度の高い単元です。

「和と差に関する問題」は、特殊算と呼ばれることもありますが、旅人算や時計算など「○○算」と呼ばれるものを特殊算と定義する人もいますので、最近は、私は特殊算という単語を使わないようにしています。

小5集中特殊算も名称を変更予定です。


和と差に関する問題とは、割合や比を使わずに解ける文章題のことです。

和と差に関する問題と割合や比が融合される問題もありますので、割合や比を絶対に使わないわけではありません。

一般の方々は、和と差に関する問題といわれてもピンときにくいのではないかと思います。


では、本題に入ります。

過不足算は面積図や線分図で教える塾講師がいます。

サピックスでは面積図だったので、私も若いころは面積図で教えていました。

あまりしっくりきませんでしたが、長いすにすわっていくタイプの問題には面積図は有効です。


過不足算の典型題とは異なりますが、個数も値段も違う差集め算と呼ばれる問題や、範囲を考える過不足算は、面積図の方が楽です。

四谷大塚の合不合判定テストの男子のラストに、面積図をかけば簡単に求められる過不足算が出ましたが、正答率が3%程度でした。

このような応用問題に意外と役に立ちます。

侮れません。


過不足算の典型題は、面積図を使わない方が自然のような気もしますが、時には面積図を使えるようなスキルが必要です。


その後、表の解き方にかえ、過不足算はこれにしようと固まりつつあるとき、前職で、上司に 「オレが中学受験の勉強をしてたころ面積図では理解できなかった。塾講師になってから線分図を見て、分かりやすくて感動した。だからこの塾の職員は、みな線分図で教えよう!」 という超ゴリ押しがあったので、線分図で教えることにしました。

対話式算数も初期は線分図の説明にしました。


線分図は面積図とちがい、かかなくてもそれで済む解法です。

線分図じゃないと解きにくい問題は存在しません。

1番下のクラスを担当したときに、厚みのある線分図(名称はステーキ)を描いて教えたら「先生の解説が1番分かりやすい!」と懐いていない生徒さんが言ってくれたので、まずまず良い方法なのでしょう。


私としては、式で解く前の下ごしらえというつもりでした。

YouTubeで関西系の塾講師の過不足算の動画授業を見ると、表が主流のようです。


私も遂に、線分図の呪縛が解けました。

また表でやろう…と思い始めました。


そんな折、タイサンのお客様に「いままでの単元はスムーズに理解できたけど、過不足算がイマイチ理解できない」と指摘されました。

これで表で行くこと決定です。


対話式算数の過不足算を、線分図から表へ書き換えました。

分かりにくい言い回しの部分をほとんど削除できました。

教える前段階の説明もカットできました。

線分図はやはりハードだったのでしょう。

表は無駄な部分もありますが、イメージしやすさではNO.1です。


過不足算は差集め算とも呼ばれますが、面積図や線分図で解けば、差を集める意識はないです。

表で解くと差集め算らしく、差を集めている感覚になります。


超基本的な一行問題なら、あまりと不足をたして差で割るだけなので、何を書いても普通に解けます。

こういう問題が解けて、基礎ができるという評価は私はしません。

解き方を覚えていると言うようにしています。


少しレベルが上がると長椅子のタイプの問題になります。

「1つの長椅子に4人ずつすわって、椅子が3つ余る」というものを「12人不足」と考えます。


面積図では横を3短くすれば解けます。

簡単です。

しかし、もう少し複雑になり、例えば、椅子が2つあまり、最後のいすは2人しかすわっていないなどの条件がつくと面積図では混乱しがちになります。


線分図なら12人不足と考えることがポイントになります。

そのレベルで躓いて過不足算は苦手ですという生徒さんもいますが、それはパターン問題だけ暗記の算数で解けているとても悪い兆候だと捉えています。


線分図は「いすがあまる=人数が足りない」というように、主語が変わると「不足」「余り」が入れ替わることを理解し、線分図に書き表していくのは難しいです。

条件が複雑になるほど、線分図は厳しくなります。


表なら、すわっていない椅子が3つあるので、000と書きます。


では、ここで、過不足算の典型題+αの問題を載せて、解き方を解説してみます。


  • みかんはりんごより10個多くあります。
  • みかんを、3人に5個ずつ配り、残りの人に4個ずつ配ると10個不足します。
  • りんごは、4人に4個ずつ配り、残りの人に2個ずつ配ると1個余ります。
  • ミカンは□個あります。


とにかく、過不足算のコツは公平を目指すことです。

世の中、不公平なことが多いですが、過不足算は公平という姿勢が大切です。


りんごを10個増やして、みかんと同じ個数にします。

みかんを全員4個ずつにします。

りんごは全員2個ずつにします。


ここまで公平を徹底します。


みかんは10個不足の状態から、3個補充されて、7個不足に変わります。

りんごは1個あまりの状態から、10個と8個補充されて、19個余りに変わります。


ここまできたら典型題です。


みかんとりんごの1人の差は2個で、全体で26個の差になるので、人数は13人です。

すると、みかんは45個と求められます。


表を書く場合は、最初の条件で、


みかん 555444……4

りんご 444422……2


と書いて視覚ツールとしてイメージしやすくします。

上のように、このくらいならば、表を書かなくてもできます。


5年生や6年生になれば、過不足算は①を使って数学の方程式のように解いてしまってもいいですが、案外、表の解き方の方が人気があります。

無理に①を使って割合にしなくても良いと思います。


過不足算は、講師の指導方法の差が出る単元です。

講師によって、生徒の正答率が変わります。


家でフォローする場合は、表で解いていない場合は、表を推奨した方が良いと思います。

そして、上記のように、公平を強く意識して練習問題に取り組んでもらうと上達すると思います。