模試でミスは気にすべきか

query_builder 2015/05/19
算数全般
ミスを気にする

模擬試験を受けると、偏差値や合格判定が気になりますが、どこで間違えたのかも気になるはずです。

ほとんどのお子様はミスをして何点か失っていることでしょう。

そういうときは「ミスがなかったら○○点」と言いたくなりますが、今回のブログは、そのミスをどう捉えれば良いかを考えていきます。


まず、私の立場はミスは気にしない派です。

これだと無責任に聞こえるので、言葉をかえます。

素点派です。


例えば150点満点のテストで100点を取ったとしたら、ミス無しで100点というのと、イージーミスで20点失って100点というのでは同じだと考えています。

現時点では同じ実力ということで、ミスも実力のうちです。

ミスならば、すぐに解決できるということはないと思っています。


しかし、ミスがある場合とない場合では心理的には異なります。

「ミス=いけないこと」と単純にとらえずに「ミスならすぐに直る」と前向きにとらえて欲しいと願っています。

上記の通り「ミスはすぐに解消できるもの」「解けなかったものは解けるようになるには苦労するもの」ということはありませんが、心理的にはミスは楽だと思います。


塾講師の中には、ミスにとてもこだわるタイプもいます。

「計算だけはミスをするな!」と奮い立たせる講師を何人も見てきました。


計算はやればだれでもできるからという論理ですが、仮に、計算を恐ろしく慎重にやって時間切れになって点数が悪ければ、呆れると思います。

重要なのはミスをしないことではないとは分かっているのに、なぜか「ミスだけはするな」という言葉が出てくるのが不思議です。


旅行に例えると、計算は、クルマを運転することのようなもので、どこに行くか、行った先でどう過ごすかが、旅行が充実するかどうかを決定づけます。

クルマの運転よりも、行った先に何があるかを調べる方が重要です。


結局は計算ミスも含めた点数勝負なので、計算ばかりにこだわるのもどうかと思っていました。

野球で、必ずしもエラーが少なければ守備の達人とはなりません。

エラーは少ないけど守備範囲が狭く、正面しかさばけなかった現役時代の落合を守備の名手とは決して言いません。

それと同じように「ミスが少ない=算数上級者」とはなりません。


塾講師は生徒の答案を採点するとき、


  • 150点満点のテストで、ミス無しで100点をとる子はスケールが小さい
  • ミスありで100点をとる子はスケールが大きい


という印象を持ちます。

私も、その生徒の現時点での実力は同じだと評価しますが、スケールの大小の違いは感じてしまいます。

上記のような計算ミスにこだわる塾講師も、採点のときは、ミスしてもまずまずの点数を取れる子に対して「実力がある」「スケールが大きい」と目を細めて評価するのはなんとも不思議です。

結局は、ミス云々ではなく応用力が重要ということなのです。


そういう意味では、150点満点で目標点を120点に設定しているなら、ミスが数か所あって、何とか目標点超えというのが最も理想的かもしれません。


日頃、お子様のミスにウンザリしている保護者には意外に聞こえるかもしれませんが、少し視点を変えて良いと思います。


模試の目的にはいろいろあります。


  • 学習したことが定着しているか
  • 本番で思考する力があるか
  • 志望校合格の可能性
  • 科目間のバランス
  • 応用問題、基礎問題の強さ


そのようなものがザッと挙げられますが、それと同じくらい重要なものとして「終わったあと、刺激を受けて勉強できるか」というものもあります。

せっかく普段と異なる緊張感の中でテストを受けたので、終わったあとも上手く誘導すれば、勉強の質が上げられると思います。


野球でもサッカーでも練習試合のあとはテーマを持って取り組めて、密度の濃い練習になると思いますが、それと同じイメージです。


保護者が熱くなって、お子様のテスト後の意欲を勉強の質に転換できていないケースもよく見かけましたが、とてももったいないです。

保護者の立場としては、模試が終わったら、点数を気にするよりも、いまからしっかり勉強させようという意識を持った方がプラスになります。


テストの結果が出て、150点中、目標の120点に達したとします。

レベルが高くて手も足も出ない問題が30点分あったら、その後の勉強の質はあまり変わらないかもしれません。


「なぜか解き方を気づかなかった」とか「雑に書いてしまってミスをした」などの箇所が20点くらいあったら「あっ、140点は取れた!」となるのではないでしょうか。


プロ野球解説者がよく「タラレバになりますが、直球勝負が失敗だった」というような居酒屋レベルの会話をすることが多いですが、私はテスト後のタラレバは悪いことだとはまったく思っていません。

タラレバは明日への活力につながります。

「欠点を直せば140点を取れる!」という意欲で、それ以降の学習が充実していけば、ミスがあったことが逆に良かったということになるのではないでしょうか。


そのためには、原因を、偶然ではなく必然ととらえることが大切です。

目標点が120点でミスもあって90点くらいになってしまうケースでは、多くの保護者はミスがなければ目標に近づけたのにという感想を持つと思います。

お子様にもそういう言葉を投げかけるのではないでしょうか。


しかし、そのようには捉えない方がいいような気がします。

解けなければいけないレベルなのに、糸口が見つからず解けなかったという問題が何問かあるはずです。


ミスを減らすことより、それを改善させることが先決です。

ミスを放置して良いと言っているわけではありません。

「ここ間違えやすいね!」「○○が原因じゃない?」というような指摘はした方がいいのですが、「このミスは許せない!」とミス撲滅キャンペーンに力を入れるのではなく、簡単だけど手の出なかった問題にこだわるべきです。


正答率と答案用紙を照らし合わせて、お子様の現状のレベルからターゲット正答率を決め、それより高い正答率の問題で未解答なら、その問題に注目すべきです。


合っているか間違っているかという前に、答えを書いているか書いていないか、あるいは、考えているか、考えていないかがポイントです。


「どうして考えていないんだろう」ということをひとつひとつ解決に向けて対処できれば、お子様のレベルは上がります。


根本的にその単元が弱いのか、忘れているのか、演習が少なくて、ちょっとの変化に対応できないのかなどに分類し、「解説を見て今度はできると確信を持つ」か「しっかり練習する」かのどちらかにします。


それに全力を注ぐと、ミス解消に気が回らなくなるかもしれません。

優先順位としてはそれでいいです。


ミスがあっても目標点を超えるという状況になって、ようやく「ミスをなくしてもっと良い点数を取ろう」という前向きな気持ちでミス解消に取り組めます。


サラリーマンでも、仕事でミスをしたときに「なんでミスをするんだ!」と責められても、今後プラスにはならないと思います。

「これさえ直せば一流なんだけどな~」などと言われると前向きになるかもしれません。


よく6年生の夏を過ぎると、ミスが減ると言われます。

塾講師に「やがてなくなりますよ~」などと軽く言われることもあると思います。

これはまやかしではなく、ある程度、信憑性があります。


1つ1つ典型題を身につけていき、問題をパッと見て、解き方が閃くようになっていくと、ミスをしないように気をつけたり、ミスをしないことを目標にしたりできます。

あるいは勉強を積んでいくと、例えば、円関連で26.12という数字を見たら気持ちが悪くて仕方がありません。

そういう感覚が養われてからが、ミスをゼロにできる土俵に上がったと言えます。


その段階に到達していないで、解き方が分からないと苦戦している状態のときに、ミスをゼロにしようという意識を強く持つことは難しいでしょう。


いつミスをなくすかという時期も、最適な時期を選んだ方が良いと思います。